売上が伸びている。会社としては成長している。現場店長として、求められる責任も果たしている。
それでも、長く現場にいるマネジャーほど、どこかで疲労感を抱えることがあるのではないでしょうか。
私自身、長年外食の現場で店舗をつくり、人を育て、売上を伸ばすことに力を注いできました。
今も仕事に手を抜くつもりはありません。
ただ、50歳を前にして、仕事の中だけに人生の意味や成長を置かないようになりました。
この記事では、売上が伸びる現場で何が起きているのか。そして私がなぜ仕事に疲弊しきらずにいられるのかを、今の時点の考えとして書いてみます。
売上が増えることは、現場にとって悪いことではない
飲食店では、売上が増えるほど固定費を吸収しやすくなり、利益も出やすくなります。
時間帯ごとの客数や客単価を高めること、営業時間を延長することは、外食企業として合理的な成長戦略です。
また、売上が増えれば、利益を確保できる範囲で勤務するスタッフの人数を増やせます。
人数が増えることで、一人当たりの作業範囲は狭くなります。互いにカバーできる幅も広がり、忙しい時間帯でも商品、サービス、清潔さといった店舗の基本品質を維持しやすくなります。
だから、私は売上を伸ばすこと自体を否定したいわけではありません。
ただし、売上の成長と現場の余力は別の話
売上が増えても、人員が十分に確保できなければ、現場には余力が生まれません。
店長や社員、限られた経験者が、通常以上の力で営業を支えることになります。
数字上は、売上も作業効率も良く見えるかもしれません。
しかし現場では、勤務予定の修正、急な欠員対応、忙しい時間帯の判断、新人のフォロー、クレーム対応などが、店長へ集中します。
店長が現場作業に入ることは、問題ではありません。
現場に入らず、指示だけを出していては、作業の改善もできません。忙しい時間帯に何が起きているのかを知り、従業員と同じ基準で動くことは、店長にとって大切な仕事です。
問題は、店長が現場に入りながら、本来店長にしかできない仕事まで後回しになることです。
人を育てること。次の責任者をつくること。勤務予定を安定させること。店舗の仕組みを改善すること。
その時間が失われると、店舗は店長の頑張りでしか回らなくなります。
店舗をつくっても、異動すればまた一から始まる
以前の私は、現場を改善し、人を育て、組織をつくることが、自分自身の成長や将来の満足感につながると信じて走ってきました。
それは間違いではなかったと思います。
実際に、人が育ち、店舗が変わり、以前できなかった営業ができるようになる。そこには確かな喜びがあります。
ただ、異動すれば、また一から始まります。
新しい店舗で現状を把握し、人間関係をつくり、課題を見つけ、教育し、仕組みを整える。少しずつ形になってきた頃に、また次の場所へ行く。
その繰り返しの中で、私は時々、賽の河原で石を積み続けているような感覚になりました。
会社の中では経験が増えているはずなのに、自分の人生に何が残っているのかが見えなくなる。
疲れていたのは、仕事が忙しいからだけではなかったのだと思います。
会社の中で成果を出すことに、自分の人生の意味を預けすぎていたのかもしれません。
50歳を前に、競争の意味が変わった
今も、責任を果たしたいと思っています。
現場を良くしたい。人を育てたい。求められた成果から逃げるつもりもありません。
ただ、同じ職位の中で競い続け、誰よりも上に立つことだけを、自分の成長とは考えなくなりました。
仕事を頑張ることと、仕事だけで人生を満たそうとすることは違う。
今の私は、会社の中で得た経験を、会社の中だけで使い切らないようにしています。
仕事の外にある時間が、私を支えている
朝、コーヒーを豆から挽く時間があります。
テニスコートで、立場や肩書とは関係なく、一球に集中する時間があります。
家族のために使いたい時間があります。
ブログを書き、自分が現場で感じてきたことを、自分の言葉として残す時間があります。
そして、副業や新しい挑戦を通じて、会社の外でも小さな価値をつくろうとする時間があります。
仕事の外に楽しみがあるから、仕事を軽く見られるようになったわけではありません。
むしろ、仕事以外にも自分を支える時間や場所があるからこそ、現場で起きる問題を人生のすべてとして受け止めずに済むようになりました。
会社でうまくいかない日があっても、人生全体が失敗したわけではない。
そう思えることは、長く現場に立ち続けるために大切なことだと感じています。
現場で得た経験を、自分の人生にも残していく
私にとって、仕事と仕事以外は切り離されたものではありません。
現場で学んだ段取り、人との向き合い方、問題を小さく分けて考える習慣は、コーヒーを淹れる時間にも、テニスの練習にも、ブログを書くことにも生きています。
反対に、仕事以外の場所で得る楽しさや余白は、現場で人と向き合う力にもなっています。
だから私は、現場に立ち続けながらも、現場だけで人生を完結させないようにしています。
売上を伸ばすことと、人を残すこと。
店舗を良くすることと、自分の人生を豊かにすること。
その両方を諦めないことが、今の私にとって大切になりました。
これから書いていきたいこと
今回の記事は、私が仕事だけに人生を預けなくなった理由です。
次回からは、仕事に疲弊しないために私が意識していることを、一つずつ書いていきたいと思います。
- 何に時間を使うのか
- 何をあえて選ばないのか
- 仕事で得た経験を、どう自分の人生に残していくのか
- 家族、趣味、仕事以外のつながりを、なぜ大切にするのか
答えはまだ途中です。
だからこそ、現場で考えながら、自分の人生もつくっていきたいと思います。

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